依存症でも再出発できます
多彩なゲスト迎え、イベント開催

 依存症への理解を深めるためのスペシャルイベント「Re-START~みんなで考えよう 依存症のコト」を3月17日に開き、ライブで配信しました。アルコール、薬物、ギャンブルという3大依存症の患者は約100万人といわれます。イベントの前半は、依存症啓発サポーターの今田耕司さんがゲストにアーティスト、DEENの池森秀一さんと山根公路さん、国立精神・神経医療研究センターの精神科医、松本俊彦さんをお迎えし、依存症とは何かについて紹介してもらいました。

誰にも可能性があります

 ライブを披露したDEENのお二人は「やはり怖いというイメージはありました。良い経験になると思って来ました」と言います。松本さんは「依存症には、意志が弱いとか、だらしないとかいうイメージがあります。しかし、誰でもなり得る病気であることと、適切な治療を受ければ回復することを知ってほしいのです」と強調しました。
 3大依存症の一つが飲酒であることをご存じの方もいらっしゃるでしょう。仕事を終えて一杯飲みストレスを解消することはよくあります。DEENのお二人も「私たちも基本そうかなあ。お酒は飲みます。静かに飲む感じです」と話しました。健康的にお酒をたしなむ人も多いと思います。松本さんは「飲み始めるととまらなくなり、翌日、仕事ができなくなる。健康に問題が出て受診し、医師から『お酒をやめなさい』と言われてもやめない。これが依存症です」と指摘しました。
 ギャンブル依存症はどうでしょうか。松本さんによると、実は日本でギャンブル依存症の人は多いのです。「負けても、いつか借りを返そうとギャンブルを続けます。勝ったら、お金は次の軍資金にします。果てしがないサイクル(悪循環)に陥ります」と、警鐘を鳴らしました。

自助グループが支えです

 後半は、依存症から立ち直ろうとしている著名人たち4人によるスペシャルトークです。4人は2016年に覚せい剤取締法違反などの罪で逮捕されました。その中の1人、元プロ野球選手の清原和博さんは自分たちのことを「花の16年組」と呼びます。
 清原さんは「月に一度、カウンセリングと尿検査を受けています。また、自助グループに参加して薬物依存から回復するつもりでやっています」と語りました。その上で「学生を指導する資格を回復しました。月に一の度自助グループの活動で、正直に話すことで心が楽になります。焦らずに一歩ずつ一日を過ごしていきたいのです」と、今の気持ちを明かしました。
 俳優の高知東生さんは「依存症からの回復は、根性論や精神論では駄目で、私も人に言えないところで苦しみました。しかし、自助グループでは何でもしゃべれます」と自助グループの意義に触れるとともに、「自分が必要としているところに全力で取り組みます」と力強く語りました。  元NHKアナウンサーの塚本堅一さんは、依存症の回復施設に入り、依存症に関する記事を書いたり、シンポジウムの司会をしたりしています。「周りの人たちがどんどん良くなっていくのを見ていると、自分も元気になります」
 「うたのお兄さん」として親しまれた、歌手の杉田あきひろさんは、「依存症は一人で抱え込むのはつらい。背中を押してくれる仲間の力が必要です。一度失敗した人間が頑張っていることを知ってほしいのです」と訴えました。
 高知さんも「共感し、分ち合える仲間に感謝します」と語りました。
依存症で挫折した人たちに、社会が立ち直る機会を与える「リカバリーカルチャー」の存在が重要なのです。